D/DEVIL 25 周年によせて

D/DEVIL は、1997年に結成しました。

その当時は、電気自動車なんて無く、ちょうどハイブリッド車のプリウスが世の中に登場したころ。
ETC は無く、ナビはあったけど、今のようにほとんどの車に装備されているものではありません。基本的に紙の地図を確認しながら走っていました。携帯電話はあったけれど、今のようにすぐに地図を見られるモノではありません。
新しい土地へ着いたら、コンビニで地図を買って確認。それでも分からなければ、その土地の人に道を尋ねるということも普通にしていました。

助手席の人や、同乗者たちと長く会話をしていました。
家族や友人、恋人と、お互いの時間を共有していました。
今でも、思い出にあるたいせつなシーンでかかっていた曲まで覚えているものです。

車窓から見える景色は、ドライブの醍醐味。
山や海の広大な風景、夏の暑い季節の青空に浮かぶ大きな雲。秋の美しい紅葉。
しとしとと降る雨のなかでの信号待ち。しんしんと降り積もる雪の夜道をそわそわしながら走る感覚。
同じ道でも時間によってまったく違う姿を見せてくれます。

街にはたくさんの洗車場がありました。
休日にはいっぱいで、みんな愛車をよく洗車していました。
洗車し終わった後、タバコを吸いながら愛車を眺めるのは何だったんですかね。

思い出は、「写ルンです」で。
24 枚(または 36 枚)撮り終わってから現像するので、あんまり撮らないと夏の思い出とお正月の思い出がいっしょのネガに入っていました。写真部でもないかぎり現像はお店に出しに行き、「ほぼ必ず」プリントしていたので、画像ではなく「写真」として思い出を紡ぎました。
「映え」とか言う人はいません。自分が気に入ったら、それが一番の思い出です。

スカイライン R33 GT-R、NSX、スープラが新車で買えました。
NSX 以外は 500 万円くらいあれば十分買えたと思います。スポーツカー意外にも個性的な車が多く、みんな自分の好みで車を選んでいました。街には、色々な車が走っていました。

—— 25 年が経ちました。

「昔は良かった」などと言うのは嫌です。
……が。昔のほうがもっとゆっくりと時間が流れていて、自動車という文化を豊かに愉しんでいた時代だった気がします。
シンプルに自分の「好き」を愉しんでいた人が多かったのではないでしょうか。

とにかく車に関しては「ムダ」と叫ばれる現代ですが、
もし、ムダが全くない人生があるとしたら、その先に何があるのか私はわかりません。
人はすぐ近道を探しますが、近道ばかりしていると、大事な何かを見失ってしまうのではないか、と思っています。

さて、今回は長く語ってしまいました。
最後に、某頭文字Dのイツキの台詞を載せておきます。

免許とればいいのにマジでさー
自分でハンドルにぎるようになるど世界が変わるよ

自分の足でアクセルふんで
自分の手でハンドルきれば
どこへでも行きたいところに行けるし
クルマって本当に楽しいんだぜ…

2022年 Mrトヨタ

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