ノリと楽しさ Vol.104
この物語は、暗黒聖衣(ブラッククロス)を纏ったハイゼットトラックの闘いです。
やあ、みんな。
強度の高いタイヤ
って履いたことあるかな?
ケンヂは前回、
ハイゼットトラックのニュータイヤとして、
145R12 8PR
へ交換した。
ブリヂストンのECOPIA R710。
これで重い荷物を積んでも、
安心。
頑丈。
シゴトにも強い。
そう思っていた。
しかし。
その後、
毎日のように走行を続けていると、
ある疑いが、
徐々に、
確信へ変わり始める。
なんか、このタイヤ……
重くない?
暗黒聖衣(ブラッククロス)
ハンドルを切る。
重い。
アクセルを踏む。
なんとなく重い。
車体そのものは変わっていない。
荷物も、
いつもと大して変わらない。
なのに、
足元だけ重い。
まるで、
足元に
暗黒聖衣(ブラッククロス)
をまとわされたかのように、
ハイゼットトラック――
いや、
ペガサスの
動きが鈍い……!
星闘士(セイント)は、
小宇宙(コスモ)を爆発させ、
重い聖衣(クロス)をまといながらも、
それを羽のように扱う。
では、
ケンヂのハイゼットも、
この8PRという暗黒聖衣を、
羽のように軽くすることはできないのか。
8PR
まず、
なぜ「重い」と感じるのか。
ここから調査が始まる。
8PR(エイトプライ)とは何なのか
PR――プライレーティングとは、
タイヤの耐荷重強度を表す指数。
実際のカーカスの枚数ではなく、
かつての綿コード製タイヤでいう
「何枚分に相当する強さなのか」を
示したものなのである(JATMA)。
つまり、
6PRから
8PRへ変わったということは、
単純に、
「タイヤの戦闘力が上がった」
と考えればよい。
しかし、
戦闘力が上がれば、
何もかも軽快になるとは限らない。
タイヤの構造や剛性、
重量、
空気圧、
そして車両との組み合わせによっては、
乗り心地やステアリングの感触が
変わることもある。
新品タイヤに交換したこと自体でも、
古く摩耗したタイヤとは
フィーリングが変わる。
つまり、
ケンヂが感じている
「足元だけ重い」
の正体は、
単純に一つの理由だけではない可能性がある。
……そうか。
それで、
タイヤ交換をしてくれた
ガソリンスタンドのジャパンスタッフが、
言ったのか。
「8PRですけど、6PRじゃなくていいんですか?」
あの男……
分かっていたんだな……。
俺が、
このあと、
暗黒聖衣の重さに苦しむことを。
空気圧
そして、
もう一つ気になるのが、
空気圧である。
空気圧が不足すれば、
タイヤの変形が大きくなり、
転がり抵抗が増えて、
燃費や走行性能にも悪影響が出る。
そこで、一つの仮説が生まれる。
「8PRなら、
もっと空気を入れればいいんじゃないか?」
……しかし。
ここで、
頭の中に一人の男が現れる。
フジワラタクミ。
AE86にニューエンジンを搭載。
イケタニパイセンに手伝ってもらって
タコメーターまで交換。
しかし、
肝心なことが分からない。
「このエンジン……
どこまで回していい?」
親父に聞かないと分からない。
今のケンヂも、
完全に同じ状態である。
「このタイヤ……
どこまで空気入れていい?」
この場合の親父とは、
車両の空気圧ラベル。
取扱説明書。
そして、
タイヤのプロである。
プロジェクトD・ハイゼットセッティング
「ケンヂ……。」
「空気圧ってのはな、
高けりゃ速くなるってもんじゃねえ」
「荷物、車両重量、タイヤの負荷能力、
全部見て決めるんだ」
「フロントだけパンパンにすれば、
路面のギャップを拾って
乗りづらくなるかもしれない」
「リアだって、
MAXまでブーストすれば正義
ってわけじゃない」
「まず指定値を確認しろ。
話はそれからだ……」
なるほど。
空気圧とは、
数字が高ければ高いほど戦闘力が上がる、
単純なステータスではない。
セッティング
なのである。
聖域(サンクチュアリ)
ということで、
早速、
ガソリンスタンドという名の、
聖域(サンクチュアリ)
へ向かう。
そこで、
現在の空気圧を測る。
車両側の指定値を確認する。
積載状態も考える。
必要であれば、
タイヤショップにも確認する。
そして、
適正な
空気圧(コスモ)
へ調整する。
果たして、
ハイゼットトラックは、
8PRという重い聖衣を克服できるのか。
ステアリングは軽くなるのか。
加速感は戻るのか。
燃費は変わるのか。
それとも、
すべてはケンヂの
気のせい
なのか。
試してみよう。
小宇宙を、
適正値まで高めて。
燃えろ、俺の小宇宙(コスモ)!
いや、
高まれ、俺の空気圧(コスモ)!