富士モータースポーツミュージアム

富士モータースポーツミュージアムツーリング〜歴代名車と技術革新の旅

富士モータースポーツミュージアムツーリング

桜が咲き始める三月下旬。富士スピードウェイに隣接した「富士モータースポーツミュージアム」までツーリングしてきました。

このミュージアムは「富士スピードウェイホテル」内にあり、「モータースポーツがクルマを鍛え、深化させた熱い歴史をたどる」というコンセプトのもと、世界中の名だたるレーシングカーが常設展示されている、車好きにはたまらないスポットです。メーカーの垣根を越えた展示と、各時代の技術革新やドライバーの物語が紹介されており、知的好奇心も刺激されます。

パナール・エ・ルバッソール Type B2

入ってすぐに出迎えてくれたのは、1899年式「パナール・エ・ルバッソール Type B2」。

クラッチからトランスミッション、ドライブシャフトを一列に配したFRレイアウトの原型とも言えるこの車は、当時、自動車の動力源として何が最もふさわしいかを証明するレースで優勝し、内燃機関の有用性を証明しました。排気量3,562cc、最高出力は12ps。当時としては革新的な存在だったことに驚かされます。

電気自動車は100年以上前からあったものの、当時も航続距離が問題だったそうです(当時は40キロほどしか走れずにレース場までたどり着けなかったとか……)。

スタッツ・ベアキャット シリーズF

パナール(1899年)から16年後の1914年のアメリカで登場したのが「スタッツ・ベアキャット シリーズF」という自動車です。1911年のインディ500マイルレースに参戦から1928年のル・マン24時間レースの参戦などモータースポーツに積極的に参戦。市販化もされ、戦前の米国で最良のスポーツカーと 評されました。

基本的な形状はパナールと同じ雰囲気ですが、エンジン排気量6,394ccから最高出力60psを出力し、100キロを超えるスピードを出すことができたそうです。ホイールは木製でタイヤもゴムの塊ですが、馬車よりも遙かに速いスピードで走る自動車に当時の人々はさぞ熱狂したことでしょうね。

サンビーム・グランプリ

イギリスからは1922年「サンビーム・グランプリ」が登場。サンビーム車の技術設計者ルイス・コータレンの「レースは車を改良する」という考えのもと、先進的な技術を積極的に取り入れた自動車でした。英国では初のDOHC4バルブエンジンの採用、アルミニウム製ボディ、前輪ブレーキの装着などはレースシーンを通じて「自動車にとって何が大事か」を証明してみせたと言えるでしょう。

(当時の自動車は前輪にブレーキを装着すると操舵の妨げになると考えられていた)

過酷なレースシーンの中で自動車は進化していきました。

ブガッティ・タイプ 35B

「ブガッティ・タイプ 35B」はグランプリからスポーツカーレースのタルガ・フローリオまで広い分野で多くの勝利を挙げた名車です。2.0リッターと2.3リッターの排気量を設定し、双方に自然吸気と過給器付き仕様を備えアマチュアドライバーに販売されていました。直方体のエンジンやボディラインの美しさを備えた先端技術と美しさが融合したレーシングカーの傑作と評されています。アルミホイールを装着した先駆けでもあります。

ブガッティ52(ブガッティ・ベイビー)

「ブガッティ52」はブガッティ・タイプ35Bの1/2のスケールで製作された子供向け電気自動車です。「ブガッティ・ベイビー」の愛称で親しまれ、6歳から8歳児が乗れるよう作られており、12ボルトの電池で最高速度20キロが出たそうです。

エットーレ・ブガッティ(ブガッティ社創業者)が当初自身の子供たちのために造ったものだったそうですが、顧客からの要望を受け500台が販売されたとか。

約100年前に電池で動く電気自動車が製作されていたことに驚嘆しますね。

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