ノリと楽しさ Vol.101

イノウエくんは車もカメラも辞めてしまったの?

ノリと楽しさ Vol.101

この物語は、ツーリングについてのノウハウです。

やあ、みんな。
業種によって時期は違うけど、
繁忙期
ってあるよね。

久しぶりに9月上旬、
ツーリングに参加してきた。

ケンヂの場合、
もうこのあたりからロウドウ
が徐々に加速してくる。

だけどもだけど、
今回のツーリングは数か月前から決まっていた
meet up
だからね。

休日はちゃんと満喫しないといけないしね。

ツーリングの下見

かつて、
3000ccツインターボの
マシンに乗っていたころとは違い、
現在のマシンは、
最低の52馬力。

そのため最近のツーリングでは、
先頭を走ることが多い。

昔はツーリング前になると、
目的地まで事前に下見へ行ったりもしていた。

目的地の場所、
駐車場、
そこに至る経路、
休憩するファミレス、
そして、
車高ペタペタマシンが
腹を擦らないか?

そこまで確認していた。

しかし現在はGoogleマップもある。
ナビゲーションの性能も上がった。
だから、昔ほど下見に時間をかけることは
なくなってしまった。

本当は道路の状況や
段差まで確認したいところだが、
もう、
車高をペタペタに下げている車が
ないからね。

ヴィギナーが先頭になると、
「自分が目的地まで
間違えずに行けばいい」
と思ってしまうかもしれない。

あるいは、
能もなく飛ばせばいい。

そう思うかもしれない。

しかし、
自分一台だけで
走っているわけではない。

後ろには、
2台。
3台。
5台。
場合によっては
それ以上のマシンが連なっている。

信号を抜けられたか。
後続が見えているか。
交差点で車列が切れていないか。
右左折のタイミングは大丈夫か。

そんなことを考えながら走る。

まあ、
10回くらい先頭を体験すれば、
だいたい感覚が分かってくる
……はず。

野辺山ツーリング

そして今回のツーリング。
ランチは清里の
ROCK
でカレーを食べる予定だった。

しかし到着してみると、
行列。

断念。

ちょ、
人多くない?

話、
違くない?

しかも、
ケンヂ、
目的地前で道違くない?

ほうとう小作

ということで、
近くの小作へ移動。

ノリと楽しさ Vol.101

そこで、
アナゴとエビの天重
に舌鼓を打つ。

予定なんて、
変わってしまえばいい。
腹に入れば、
だいたいオーケィ牧場。

悠久の風

食後は軽く移動し、
いよいよ目的地へ。

ノリと楽しさ Vol.101

この日は天候にも恵まれ、
野辺山へ到着したころには気温も穏やか。

暑すぎない。
寒すぎない。
空は広い。
山。
草原。
風。

そして、
このときの気分はもう、
ファミリーコンピュータ専用カセット、
スクウエアが1990年4月27日に発売した
『ファイナルファンタジーIII』
のフィールドで流れる曲、
「悠久の風(Eternal Wind)」
そのもの。

脳内で完全再生。

※ゲーム音楽界の巨匠・植松伸夫氏が作曲した名曲であり、
数あるFFシリーズの楽曲の中でも屈指の人気を誇る。

目の前には野辺山。

しかし精神世界では、
光の戦士がフィールドを歩いている。

そして、
目的地である
野辺山宇宙電波観測所へ。

キャメラは辞めてしまったの?

ある程度近づくと、
「ここから先はケータイの電源を切るか、
機内モウドにしてね」
という世界になる。

電波観測に影響を与えないため、
携帯使用不可。

ということで、
ケータイを封印。

……あれ?
ちょっと待って。

ケンヂ、
カメラは?

D5は?

今日も自宅で、
おやすミルク?

キャメラは辞めてしまったの?

そしてここで、
約30年以上の時空を飛び越え、
脳内に突然蘇る、
タカン・アキラ先生。

ケンヂが
まだ15歳程度だったころの
担任である。

「コウコウには行きたくないの?」
by タカン・アキラ先生

成績が悪すぎるケンヂに向かって放たれた、
今ならコンプラのど真ん中を
ストレートで撃ち抜きそうな名言。

「イノウエくんは
車もカメラも
辞めてしまったの?」

そんな声が、
八ヶ岳から聞こえてくる。

いや、
聞こえてこない。

観測所を歩く。
巨大な電波望遠鏡を見る。
空気がいい。
景色がいい。
そして、
水もうまい。

ソフトクリームも食べた。
こういうことをしていると、
昔のツーリングを思い出す。

ツーリング

ところで、
なぜツーリングでは
一番パワーの低いマシンを
先頭にすることが多いのか。

理由は単純で、
グループ全体のペースを
そのマシンに合わせられるからである。

例えば、
パワーのある車が先頭にいると、
本人は普通に加速しただけでも、
登り坂や合流で後続との差が開いてしまう。

300馬力のマシンにとっての
「ちょっと踏んだ」
と、
52馬力のマシンにとっての
「ちょっと踏んだ」
は、
まったく同じではない。

52馬力の場合、
場合によっては
ほぼ全部踏んでいる。

さらに複数台で走っていると、
先頭のわずかな加速や減速が、
後ろへ行けば行くほど大きくなる。

いわゆる、
アコーディオン現象。

先頭がスピードを上げる。
2台目が少し強めに加速する。
3台目はさらに加速する。
そのあと前が詰まる。
ブレーキ。
さらに後ろは、
もっと強いブレーキ。

こうなると、
ただの楽しいツーリングが、
突然、
交通工学
になってしまう。

その点、
一番非力なマシンが前なら、
そもそもの加速がマイルド。
後続も無理をする必要がない。

信号で置いていかれる可能性も減る。
そして非力なマシン側も、
後ろから
「ついていかなきゃ」
と焦らず、
自分のペースでツーリングに集中できる。

だからグループドライブでは、
一番遅い車や不慣れなドライバーを
先頭、あるいは2番手へ。

そして、
全体を見渡せて、
トラブルにも対応できるベテランが
最後尾――シンガリ
を務める。

これがなかなか合理的なのである。

昔と変わらない

ノリと楽しさ Vol.101

昔、
台数が多かったころ。

途中で車列がバラける。
信号で分断される。
道が分からなくなる。
そんなときは、
「分からなくなったら、
適当なところで止まっていて」
としていた。

そして、
最後尾を走っていたケンヂが追いつき、
前へ出る。

そこから目的地まで案内する。

そんなこともあった。

当時はそれが、
別に特別なことだとは思っていなかった。
毎回、
ただ普通にやっていた。

今は、
52馬力のミライースで、
先頭を走っている。

D5も持ってこない。

車高もペタペタではない。

事前の下見もしなくなった。

ずいぶん変わってしまった。

それでも、
何台かのマシンが連なって、
山道を走り、
みんなで飯を食べ、
目的地でソフトクリームを食べる。
やっていることは、
意外と昔と変わっていない。

昔は最後尾。
今は先頭。

ただ、
走る場所が変わっただけ
なのかもしれない。

そう考えると、
台数が多かった時代、
最後尾のケンヂが前へ出て
目的地まで連れていっていたあの頃が、
ずいぶん、
遠い昔のことのように感じる。

そして、
八ヶ岳の風の中で、
また脳内に流れてくる。

「悠久の風」
なのである。

ノリと楽しさ Vol.101

To Be Continued…